取水可能な地下水揚水量の検討に関する従来の概念および方法に関する評論
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概要
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地下水揚水量に関する考え方の正しい目的・適応範囲・用法を明確にするため,従来の概念について調べた.レビューにより世界中で,2種類の適正揚水量,適正地下水利用量,適正限界揚水量,安全揚水量,永続性揚水量,持続性揚水量,枯渇性揚水量,許容揚水量の9種類の定義が確認された.これらを分析すると,1)個々の井戸の限界揚水量,2)複数井戸の適正利用量,3)地下水盆の可採地下水利用量,4)非更新性地下水盆の可採地下水利用量,5)地下水資源の開発と保全における開発許容レベル,の5つに分類された.また各概念の特性を評価するため,その適応範囲,経済性,水収支の均衡,社会経済性(環境科学性)の4要件について考察した.その結果,許容揚水量のみが全ての要件を満たしていることがわかった.本研究で,各地下水揚水量に関する概念の目的・適応範囲・用法について明確に定義付けすることができた.これら地下水揚水量に関する正しい概念が定着し,地域の実状に合った地下水揚水量が決定をされるようになれば,大規模な地下水利用が行われている開発途上国における地下水開発計画策定水準は飛躍的に向上する.
- 地学団体研究会の論文
- 1998-07-25
著者
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