下総層群の層序と構造の形成過程(<特集>房総半島における第四系の層序と堆積作用)
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概要
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房総半島には,3,000mを超える厚さに堆積した海成更新統の上総層群と下総層群が露出している.このように著しい堆積が生じているのは,関東構造盆地の構造的な沈降の結果であり,それが後に隆起運動に転じたもの,と一般には考えられている.とりわけ下総層群は厚さ約600m,主として浅海成層で,氷河性海面変動の影響を受けた堆積サイクルがほとんど連続的に累積する地層群からなる.一方,関東構造盆地は幅広い伊豆-小笠原弧の中にあって,第四紀を通じて深海から隆起してきたものと考えられる.この隆起と沈降という相反する運動をどのように考えたらよいだろうか.このパラドックスを説明するため,二つの仮説を提案した.第一は堆積物の荷重により生じるアイソスタティックな沈降運動,第二は構造盆地の隆起速度を上回るテクトノユースタシーにかかわる大規模な海水準上昇である.下総層群の層序と構造の形成過程は,このような運動を考えることにより,合理的に説明できる.
- 地学団体研究会の論文
- 1997-03-25
著者
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