沖縄産ウニヒザラガイ属2種の活動パターンと帰家習性(<特集号>第2回国際ヒザラガイシンポジウム)
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概要
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沖縄島瀬底島の潮間帯岩礁で2000年7月から8月,9月から10月の2期間にウニヒザラガイ属2種オニヒザラガイAcanthopleura gemmataとキクノハナヒザラガイA. tenuispinosaの活動パターンおよび帰家習性について調査をおこなった。両種ともに昼は波打ち際状態の時に,夜は波打ち際状態に加え干出状態の時に家の外へ出て活動した。両種ともに移動距離・外出時間とも昼より夜の方が長かった。2種間では,夜の活動でオニヒザラガイはより波打ち際状態で活動するのに対し,キクノハナヒザラガイは干出状態と波打ち際状態で一様に活動することや,昼の活動でオニヒザラガイよりキクノハナヒザラガイの移動距離が短く,移動速度も遅いことなど若干の差が見られた。岩盤の表面温度は,昼の晴天時には50度を超え,水中の捕食者となりうる動物も観察した。したがって,乾燥適応・捕食適応が活動パターンに関与していると考えられた。帰家行動についても,両種で同様に見られ,2期間(通算31日間)を通じてほとんどの個体は1または2カ所の家だけを利用していた。また,家の奪い合いの観察例より,他個体に家を占拠されてもすみやかに近隣の家(pit)に入る行動などから,ヒザラガイは周辺の地形をよく認識していることが示唆された。
- 日本貝類学会の論文
- 2006-05-31
著者
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吉岡 英二
Department Of Humanities Kobe Yamate College
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藤谷 絵里加
Department of Fisheries, School of Agriculture, Kinki University
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藤谷 絵里加
Department Of Fisheries School Of Agriculture Kinki University
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