左右田喜一郎の貨幣と理性 : 若き知性と晩年の思索についての補論 (唐渡興宣教授記念号)
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概要
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日本の経済哲学を創立した左右田喜一郎(1881-1927)の初期と晩年の思索について,その学問的意義を再考する。左右田は博士論文Geld und Wert (1909),および,著作Die logische Natur der Wirtschaftsgesetze (1911)によって,弱冠三〇歳にて独自の経済哲学を確立すると,その後は日本において,文化哲学の新たな地平を築いていった。若き左右田にとって,銀行業における不換紙幣制度の確立は,近代社会の偉業となるべき歴史的課題であると同時に,彼の独創的な理論の隠れた中核でもあった。まずこの点を理論的に明らかにする。しかし左右田喜一郎は,実業家としては父から受け継いだ左右田銀行を倒産に追い込み,理論とは裏腹に現実の辛酸をなめている。左右田は惜しくも四七歳にて夭折するが,晩年の左右田は,西田幾太郎の哲学と向き合うことによって,自身の哲学的立場を練り上げようとしていた。本稿では絶筆となった論文「西田哲学の方法について」を読み解くことで,死と向き合う左右田の「理性と尊厳」を省察する。
- 北海道大学の論文
- 2006-11-29
著者
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