戦後日本資本主義の設備投資循環(予備的考察) : 20世紀末大不況の深化と収束を媒介した日本資本主義 (唐渡興宣教授記念号)
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概要
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日本資本主義は今,戦後6番目の産業循環(=設備投資循環)上昇局面の踊り場にある。小論の景気局面区分はあくまで設備投資循環=中期循環に即しており,内閣府「景気循環日付」と異なる。第VI期循環は第V期(1995〜02年)後退局面を漸く脱却後,02年第3四半期に始まった。それは,石油危機期にあたる第II期下降局面(74〜77年)と第III期全体(78〜83年),第IV期全体(84〜94年)と第V期全体(95〜02年)まで,3期半の中期循環にまたがり,四半世紀に及んだ<20世紀末大不況>,すなわちコンドラーチェフ型長期循環の不振過程を,「三つの過剰」の強行処理を通して総括的に収束せしめ,開始した。<19世紀末大不況>と同様,<20世紀末大不況>も支配的資本,機軸産業,覇権国の再編や序列変化という世界市場変容を伴っている。この間ウォール街・シリコンバレー・中華圏経済のネットワークが国際分業の地殻変動的な再編軸をなしてきた。日本資本主義の<20世紀末大不況>は,そうした世界資本主義のグローバル展開を呼び起こす舞台裏となった<20世紀末世界大不況>と,開始,深化,収束の各局面で積極的に媒介しあってきた。
- 北海道大学の論文
- 2006-11-29
著者
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