Non-Heart-Beating Donationの米国での現状 : 新たな臓器獲得方法がもたらした生死の境界のゆらぎ
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概要
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脳死からの臓器移植が世界で最も盛んな米国では、移植医療に関する最大の問題はドナー「不足」であり、新たな臓器獲得方法の開拓は喫緊の課題といわれている。脳死ドナーの数が頭打ちの現状で注目されているのが、心停止後に提供してもらう方法である。しかしこの方法では、我が国で行われている心停止後の提供とは異なり、脳死ではないが重傷の脳損傷を負ったため「意味のある」回復の見込みがないと診断され、生命維持治療を中止することが決定された患者がドナー候補となる。さらに、心停止の数分後に提供臓器の切除を開始するため、臓器摘出は確実にドナーの死後でなければならないというdead-donor ruleに抵触するとの指摘もある。「死んだ」ドナーからの「生きた」臓器を必要とする移植医療の進展は、死の判定方法のゆらぎをもたらし、医師の対応はドナーの死期の前倒しとも見られる判断に対して寛容に変化してきた。
- 2002-09-17
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