介護福祉教育と保育教育との関連 : 卒業生の聞き取り調査を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
介護福祉士が専門職として誕生して18年あまりになるが,今後の課題は介護福祉士の質にあるといわれ,その質を上げるためにも介護福祉教育のあり方を考察する時期かと考えられる。その一環として,福祉現場で実施されている統合ケアが参考になると思われる。統合ケアとは,一環境において高齢者と子どもが生活する(ここでは,24時間共にいるというわけではなく対象者の一部分の時間を共有するとする)ことを通じて,高齢者にとっては,世代間交流から子どもに文化の継承やしつけを行うという過程で,次第に心を開き自発性がみられ,人の役に立つことで自信や生きがいを見出すという変化があり,日々生活の活性化や快適さに繋がっている。このことは,子どもを媒介として認知症介護などの介護予防に効果があり,より一層の高齢者の生活の充実を図られると推測される。以上のことから,高齢者を介護する介護福祉士は高齢者に関する知識だけでなく,子どもに関する知識も重要であると考えられ,介護福祉士教育の一方法として幼児教育(以下,保育教育という)の導入が,今後の介護福祉士の質の充実を図ると推測される。そこで,ここでは統合ケアの視点から介護福祉士教育と保育士教育との関連性について捉え,介護の場面で保育教育をどの様に活用されているのか,S市に在住する保育士有資格者の介護福祉士に対して聞き取り調査を実施した。結果は,レクリエーションを行う際に保育の基礎技能を活用しており,介護を行う際に役立っていることがわかった。このようなことを踏まえると,保育教育は介護福祉教育に繋がるものがあるといえるが,保育の基礎技能を実施する際において,専門科目からの知識や倫理観も影響しているといえ各々の科目についても検討することが今後の課題といえる。
著者
関連論文
- 保育と介護福祉との比較 : 対象者の生活過程 その1
- 介護過程における教授法の検討 : 目標指向型とICFへの試み
- 介護福祉教育と保育教育との関連 : 卒業生の聞き取り調査を通して
- 色彩が及ぼす介護者への影響 : 学生へのコミュニケーション(その1)