J. A.ホブスンと財産権の問題
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概要
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J. A.ホブスンは富が実際に分配される法則の解明に取り組んだだけでなく,個人は生産物のうちどれだけの部分を自身の財産として正当に請求する権利を有するか,という規範的問題にも取り組んだ。個人が「自然な」財産として獲得することを正しいとされるのは,生産活動において出費されたエネルギーを元通りに回復させ,効率的な労働への誘因となり得る生産物の部分である。個人がそれ以上に財産を享受している場合,財産の自然な法則に背いている。また,ある物の生産においては個人だけでなく社会も大きく貢献しているのであり,社会は生産物のうち自身の貢献分を請求し取得して,社会的に使用する権利を有する。そして彼はそのように個人と社会の財産権が保証される理想的な分配機構を構想しようとしたのである。
- 愛知学院大学の論文
- 2006-03-30