ホブスン帝国主義論における膨張の問題
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概要
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J. A. ホブスンの帝国主義をめぐる著作の研究において, 従来取り上げられてきていなかった論点として, 領土的膨張を志向する帝国主義的大国に代わるべきであると彼が考えていた理想的な国家像は如何なるものであったのか, という問題がある。広大な領土の獲得をめざす大国は, 彼の視点から見て, 量的な増大を優先して国民生活の質的な充実を蔑ろにしているように思われた。そうした大国とは対照的に, 狭小な国土で高度な文化や教育を発展させているヨーロッパの小国, その中でもとりわけ直接民主主義制度と独自の産業社会化政策を発展させているスイスを, 彼は帝国主義的大国に特有の有害な影響を免れている理想的国家として高く評価したのである。
- 愛知学院大学の論文
- 2005-03-31