V.ウルフ「燈台へ」における死テーマの分類
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概要
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これは、ヴァージニア・ウルフの作品「燈台へ」について、ウルフの死に関係ありと考えられる語句、文章をselectし、これらを大きく18の項目に分類したものである。筆者がウルフの「船出」、「夜と昼」、「ジュイコプの部屋」、「ダロウェイ夫人」と、その作品順に遂次おこなってきた死テーマの分類に続くべきものであり、彼女の全作品を通じての死を探るための一資料を得ようというのが本編の目的である。作品「燈台へ」は、「ダロウェイ夫人」の成功後、ウルフがますます自信を得て書きあげた作品であり、その筆致はしなやかで、やわらかく、作中の人間関係も、前作に比べ、さらに生活のにおいを感じさせる作品であるが、反面、燈台への旅は、人間の死への旅路ともとれ、なおウルフの死は全編に散在している。死テーマの外、燈台、波、人生、孤独など、興味ある諸テーマにあふれているが、紙面の関係上、これらについては割愛した。ウルフの死テーマの分類も、すでに5編を重ねる。いずれもが私的メモの域を越えないつたない分類ではあるが、それにもかかわらず、作品ごとにあらわれる彼女の死意識がおぼろげながらも感知でき始めた感がある。使用したテキストは、The Hogarth Press 1960年版であり、語句の末尾の数字は同テキストの頁数を示す。またほとんどのものを筆者の独断により、一項目に属せしめたが、やむなく多項目にわたる場合にはその旨明記した。代名詞その他について、必要と考えられるものには、指示するものをその直後に指摘した。この場合人名については略語を用いた。なお人名略語は論末に示すとおりである。
- 1984-03-31
著者
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