島根県における保育所保母のヘルス・ケアに関する研究 : 第1報 疲労自覚症状の実態
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概要
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島根県における保育所保母のヘルスケアのあり方を研究する立場から,今回は,勤務後の疲労自覚症状について調査を行ない検討した。1.本調査対象は,市部62.1%(公立53.8%,私立66.1%),農山村52.3%(公立51.0%,私立52.3%),離島68.8%(公立57.9%,私立88%),へき地は公立のみで40.0%であった。2.公立は,年令構成に偏りがなく,既婚者が高率であったが,それに対し,私立は若い年令層に集中し,未婚者が高率を示した。3.地域・設置主体別により若干,疲労感の出現に相違が認められた。4.疲労自覚症状について,疲労感の指標に基づき分析した結果,総体的にはI-dominant型を示した。しかしながら,特定グループにおいて,注目すべきII-dominant型,すなわち,「精神作業型-夜勤型」の疲労状況を示した。5.訴えの各項目で多かったのは,「肩がこる」,「腰がいたい」,「横になりたい」等であり,III群の項目に訴えが多く,立位姿勢が多い肉体労働者の作業状況に対応した疲労現象を示した。6.未既婚別では,予想されたとおり,既婚者にその訴え率が高く,家庭での家事,育児の負担が伺われた。以上のように,県下の保育所保母の疲労状況は,総体的には,一般的疲労症状を示したが,(市郡の私立無認可,離島の私立,及びへき地)のいずれも既婚者のグループに,疲労症状として注目すべき「精神作業型-夜勤型」が認められたことは特筆すべきである。また,最近問題となっている,職業性頸肩腕症候群,腰痛症の症状との関連もみられたので,次項においてさらに検討をすすめたい。なお,本研究にあたり御指導を賜わりました島根女子短期大学,名誉教授大久保英子氏並びに,島根医科大学第2環境保健医学教室教授山根洋右氏,同助教授吉田暢夫氏,また,調査に御協力いただきました島根県各保育所長,並びに保母の方々,島根県及び関連市町村の社会福祉関係の方々に厚く御礼申しあげます。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1983-03-31
著者
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