わが国における「瓜2つ妄想」の精神病理学的研究
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概要
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対象は, 「瓜2つ妄想」を呈した本邦での報告例17例に,自験例4例をつけ加えた21例である.その中,16例は分裂病, 2例は急性妄想状態で,パラフレニー,単純ヘルパス脳炎,診断不明のものなどがそれぞれ1例ずつである.症例の女性優位性(21例中14例)が注目されるが,男性例(7例)も増加しており,特異な傾向とは見なし得ない.不安・恐怖に対する基本姿勢は,洋の東西を問わず不変であるが, ヨーロッパ人の分析的思考に対比される日本人の自他未分離の全体的思考形態が,originalと密接な関係を持つ姓名を有し,originalと同一の空間からその分身として患者の妄想世界に出現する,本邦例に特異的なsosieの様相に投影されている.また,当妄想の発現機序を, 「唇気楼」のように変質したoriginalから発散される異和感に対する心理的解決法の1つとしての,患者による「originalのsosie命名作用」であることが提唱された.
- 弘前大学の論文
著者
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