石垣島のマングローブ林におけるウズラタマキビ類の分布と行動
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概要
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沖縄県石垣島の吹通川マングローブと宮良湾沿岸部で, 樹上性ウズラタマキビ類の3種, ヒメウズラタマキビLittoraria intermedia, ウズラタマキビL. scabra, イロタマキビL. pallescensの分布, 行動について調べた。樹上での平均分布高は, ヒメウズラタマキビ, ウズラタマキビ, イロタマキビ褐色型, イロタマキビ黄色型の順に高くなる。付着樹種については, ヒメウズラタマキビはヤエヤマヒルギとシマシラキに多く, ウズラタマキビはシマシラキ, イロタマキビはヤエヤマヒルギ上に多い。樹上の異なる基盤に対する分布は, ヒメウズラタマキビでは幹, ウズラタマキビは幹と枝, イロタマキビは葉上に多い。これらの分布の差は3種間ではいずれも有意であったが, イロタマキビの2タイプ間では分布高以外には有意な差はなかった。活動パターンも種間で違いがみられ, ヒメウズラタマキビは干潮, 満潮や小潮, 大潮の潮汐変化に応じて上下動を行うのに対し, イロタマキビでは潮汐条件に伴う顕著な上下動はみられなかった。干潮時の降雨下でヒメウズラタマキビはほとんどの個体が動かないが, イロタマキビでは活動するものが多かった。これらの結果は, かつてウズラタマキビLittorina scabra 1種にまとめられていたこれらの種を別種とし, イロタマキビに種内色彩変異を認めたReid(1986)の分類体系を支持すると共に, マングローブ林内でのウズラタマキビ類の分化にかかわる基礎的な情報を提供している。
- 1992-12-31
著者
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