アラレタマキビにおける殻長組成と分布密度の垂直変化
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概要
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潮間帯上縁部に棲息する, アラレタマキビの殻長組成と密度の垂直分布を調べた。殻長4mm以上の個体の分布位置は, 6, 7月にはその前後の月に較べて低かった。稚貝は8月に分布帯の下部に現われ, 以後その分布範囲は上に広がった。1才以上群は6, 7月には上-下にほぼ等しい密度で存在したが, 8月には高所に集中し, 0才群と1才以上群との分布は分離した。殻長4mm以上の個体の雌雄比は年間を通じほぼ1 : 1であるが, 冬期には雌割合がやや大きくなる。年間を通じ, 雌の平均分布高は雄のそれよりやや低い。分布帯内において上部の個体は下方, 下部の個体は上方, 中央部の個体は上下に分散し, その結果本種の分布帯は解散することなくある一定範囲内に維持される。平均殻長は夏期を除いて高所ほど大きく, 殻長の高さ勾配を示すが, これは小型個体が活動を分布帯下部に限るのに対し大型個体が分布帯内のより広い範囲を動き, かつ, より大型のものほど高い位置を指向する性質を持つことにより達成されていると考えられた。
- 日本貝類学会の論文
- 1985-12-31
著者
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