同一河川におけるカワニナ 2 種の判別と形態比較
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概要
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賀茂川内の4地点で採集したカワニナ類を電気泳動法によって種判別し, 同時に成員・胎貝の形態比較を行った。電気泳動法による酵素多型の分析の結果, 賀茂川には自由交雑のない2種が生息していることが判明した。上流にはA型, 中流にはB型が分布していたが, 同所分布地においては, B型成貝の縦肋が消失し, 螺層数が減少してA型成貝と区別しがたい形態になる傾向がみられた。また同所分布域では, 成貝の形態や最大胎貝のサイズ, 胎貝の縦肋では2型の判別は困難だが, 胎貝サイズと保有数を比較すれば判別は可能であった。しかし, 同じA型でも上流の貴船では胎貝サイズや保有数はB型に近く, 胎貝による種の検索は異なる地点間では困難であることが判った。A型は貴船を除いて小型の胎貝を持つが, 従来の記載と異なり胎貝に縦肋のあるものが多く, また遺伝的にも副模式標本産地のS. libertinaと違いがみられたが, これが種間差か地理的変異かは不明である。またB型はチリメンカワニナS. reiniana(宇治川・琵琶湖産の標本についての記載)と同定された。
- 1992-01-31
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