シロレイシダマシ属 Drupella の歯舌に見られる二次性徴およびその分類学的再検討
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概要
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荒川(1958a)はDrupellaにおいて歯舌に性的二形のあることを初めて明らかにし, 歯舌の形質は種や属によって変わらないという従来からの考えを改めたが, 中にはこれを否定する見解もあった。しかし著者は今回, 荒川の報告した2種を含め同属の4種で性的二形が存在することを確認し, この現象がDrupellaの成貝に広くみられることを示した。これら性的二形は成貝においてのみ認められ, 幼貝では雌雄共に雌型歯舌をもつ。また雄では成貝になるのに前後して, 雌型歯舌から雄型歯舌へと形態が著しく変化する時期が認められた。これらのことから性的二形は二次性徴のひとつであると考えられる。中歯の形態・大きさ・色などに顕著な雌雄差がみられるのに対し, 側歯は二形を示さない。しかも中歯は側歯より急速に成長するので, 歯列比(側歯列数の中歯列数に対する比)の値は一定せず, 性や成長段階に対応して変動する。側歯が中歯と異なった成長率で形成されることから, 機能の分化が起こっているものと考えられる。歯舌の形態の研究をもとに, これまで混乱していたDrupella属の分類学的再検討を行い, 沖繩産Drupellaを以下の4種に分けた。Drupella cornus (Roding, 1798)シロレイシダマシD. fraga (Blainville, 1832)ヒメシロレイシダマシD. dealbata (Reeve, 1846)ニセシロレイシダマシ(新称)D. concatenata (Lamarck, 1822)クチベニレイシダマシ
- 日本貝類学会の論文
- 1982-01-31
著者
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