ダムによる流域分断と淡水魚の多様性低下 : 北海道全域での過去半世紀のデータから言えること(<特集2>大規模長期生態学研究とは何か?)
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概要
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ダムによる河川分断の淡水魚類種多様性への影響を、北海道日高地方と北海道全域という2つの空間スケールのもとで定量的に評価した。日高地方に設定した125地点では、標高と傾斜角の増加と魚道のないダムで地点下流が分断されることによって水生生物の種数が減少した。一方、北海道全域で過去50年間におこなわれた6674件の魚類調査を解析した結果、標高と傾斜角の他に、流域面積、調査年、調査件数の増加にともなって魚類種数が増加する傾向が見出された。また河口域にダムが建設されることで、最大9種もの淡水魚類が地域的に絶滅することが推定された。このように時空間スケールを違えても淡水魚類の種多様性に及ぼすダムの負の影響は一貫して検出された。しかしスケールを大きくすることで種数-面積関係のような生態学的パターンが新たに見出されることがわかった。大規模長期的な生態研究の意義と問題点についても若干の考察を加えた。
- 日本生態学会の論文
- 2005-08-31
著者
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