山梨県西島産玄武岩中の沸石類

概要

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山梨県南西部に分布する新第三紀中新世の御坂統櫛形山累層中には,沸石などを含む玄武岩〜安山岩の熔岩が観察される.本研究では,南巨摩郡中富町と鰍沢町の町境付近に分布する玄武岩中の沸石などについて結晶学的,化学的な検討を加えた.沸石類として,方沸石,中沸石,トムソン沸石,灰十字沸石,モルデン沸石,灰束沸石を記載した.また,沸石類に伴うバナジウムを含む特異な魚眼石,サポー石,玄武岩の斑晶についても化学分析をおこなった.主な沸石類はカルシウムに比較的に富むもので,母岩の化学的性質とほぼ調和している.しかし,中沸石の一部ではナトリウムの関与が必要で,単純な斜長石の分解からだけでは生成できない.恐らく石基の火山ガラスからもたらされたものであろう.また,沸石生成初期の段階では,カルシウムをほとんど含まない方沸石が晶出し,その後に大部分の沸石類が晶出したことを,産状や鉱物組合せから結論できる.魚眼石中のバナジウムの起源については明確でないが,分解した磁鉄鉱中に微量なバナジウムが含まれていた可能性がある.
2002-12-25