20世紀における欧米社会とキリスト教
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概要
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21世紀を迎え,20世紀を様々な角度から振り返る試みが行われているが,本稿では,20世紀においてキリスト教が欧米社会の中でどのような展開をしたのかを考察することにする.欧米社会の中で,信仰と言う面ではキリスト教の力が衰退してきていることは否定できないであろう.このことは,日曜日毎に教会に行く人の数の減少によっても明らかである.それでも,欧米社会にキリスト教の精神的・物理的遺産は確固として残っている.一神教であるキリスト教の下で,欧米人は一つの尺度で明確な善悪の判断をする価値観を身に付けた.この価値観の下では曖味な領域は排除される.ここでの最大の課題は,この絶対的だとされる尺度が欧米人以外にも合理性を有するかである.産業革命以降,欧米社会が物質的に他の地域を圧倒したために,欧米の価値観で他の地域の問題が判断された.さらには,欧米の価値観が普遍的なもので,他の地域の人々も受容するものであると考える人が多くなった.こうした姿勢は20世紀中間ぐらいまで続いたが,1960年代以降,欧米社会の中に欧米社会が持つ優越性の自負について疑問視する人達が出てきてから,他の社会の価値観にも注意が払われるようになった.この時期は,欧米社会においてキリスト教の影響力が後退していった時期と重なり合う.こうしたキリスト教の20世紀における欧米社会での展開を概観した後、21世紀にはキリスト教がどのような課題を持っているかを考察することにする.
- 名古屋文理大学の論文
- 2001-04-01
名古屋文理大学 | 論文
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