基本的日常生活動作中の体幹および下肢の筋活動水準の男女差

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22〜32歳の健常成人男女各6名を対象として,基本的な日常生活動作時の体幹および下肢の筋活動水準に男女差が存在するか否かを検討した.基本的な日常生活動作として,姿勢保持,姿勢変換,体重移動動作計14種類を選定し,RA, ES, RF, BF, TA, Solの計6筋から,携帯型筋電計を用いて表面筋電図を導出した.筋活動水準は,各動作で導出された筋電図の時間当たりの平均積分値を,各筋の等尺性筋活動によるMVC発揮時の筋電図積分値で正規化して(%EMGmax)評価した.その結果,以下の知見が得られた.1.姿勢保持,姿勢変換,体重移動動作のいずれにおいても,体幹および下肢の筋活動様相に男女間で明らかな相違は観察されなかった.2.対象動作における各筋の平均活動水準は,Solを除いて男性では20%EMGmax以下,女性では30%EMGmax以下であり,男女ともに活動水準が最も低かった筋はRA,最も高かった筋はSolだった.3. 3元配置の分散分析を用いて,動作の種類,部位別,性別の3要因が筋活動水準(%EMGmax)に与える効果について検定を行った結果,3要因すべてについて主効果が認められ,動作の種類と部位別,動作の種類と性別,部位別と性別の間にも有意な交互作用が検出された.4.事後検定の結果,動作では体重移動動作,部位では下腿,そして性別では女性において,筋の活動水準が高いことが明らかとなった.筋別にみると,活動水準に性別の効果が認められたのは下肢の筋であり,各筋について同じ動作を行ったときの活動水準の平均値を男女間で比較すると,片脚立ちや体重移動動作において有意な男女差(女性>男性)が認められた.5.動作所要時間内の平均筋活動水準だけでなく,0.1秒ごとに%EMGmaxを算出したときの活動水準別度数分布からみても,男性より女性の方が同じ動作を行ったときに,より高い筋活動水準に達する時間が多いことが判明した.6.本研究の結果から,日常生活での体重支持・移動動作時には,男性に比べて女性の方が,下肢の筋にかかる負担が相対的に大きくなっている可能性が示唆された.
日本体力医学会の論文
2006-04-01

基本的日常生活動作中の体幹および下肢の筋活動水準の男女差

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