培養皮膚移植の基礎的研究 : IV型コラーゲンの表皮細胞コロニー形成への効果について

概要

論文の詳細を見る
培養皮膚移植において,表皮基底細胞の基質ならびにキャリアーとして真皮成分を用いることは,移植後の拘縮を避けるため特に全層皮膚欠損創の治療にとっては有利である。しかしながらキャリアーの材料や細胞の播種条件については検討を重ねる必要があると考える。我々はコラーゲンマトリックスを基質ならびにキャリアーとし,この上に表皮細胞を播種する培養皮膚移植を行うにあたって以下の基礎的検討を行った。真皮上層に相当する多孔性人工基質として I 型コラーゲンをコートした Intercell^<[○!R]> を用い,この上でラット表皮細胞の初代培養を行い,基質上にコートした IV 型コラーゲンの表皮細胞コロニー形成への促進効果の有無を調べた。また,同実験系を用いて,表皮細胞コロニー形成への正常な線維芽細胞の共存効果の有無についても検討した。この結果,IV 型コラーゲンはラット表皮細胞のコロニー形成に促進的に働き,その効果は濃度依存性であること,また,線維芽細胞は今回の培養条件においては促進効果を示さないことが明らかとなった。以上の結果から,IV 型コラーゲンのコーティングは線維化された I 型コラーゲン基質と表皮細胞との親和性が低いという問題を解消する上で有効であり,特に,人工皮膚に組み込まれる表皮細胞に効果的に発揮されるものと思われる。
北里大学の論文
1990-02-28

培養皮膚移植の基礎的研究 : IV型コラーゲンの表皮細胞コロニー形成への効果について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク