"数"を主題とする《コンコーダンス鑑賞》試案 : 「最後の晩餐」から始める鑑賞
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概要
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本稿では,学習指導要領にもある1課題:"異文化理解"を踏まえながら,西洋絵画,しかも日本人一般にとり近づきがたく解しがたくもある宗教画(主には祭壇画)を敢えて採り上げ,その理解と堪能を旨とする鑑賞指導メソッドを提起しようと試みる。その際,参照・応用したのが,聖書研究上,不可欠となる「語句の引照方式」である。絵は色・形を初め,図像や説話や人のポーズ・配し方などいろいろな内容を含んでおり,それらを共通項として絵と絵を繋ぐ(インターネット的に言うとリンクする),そのことをコンコーダンスと呼ぶ。当過程を経る内,知識・理解のネットワークが形成され,西洋に特有の宗教画的系譜が次第に掴め出すのを狙う。7作例を選び,メソッドの記述を中心とする。コンコーダンスと言っても,徒に糸を張り巡らすようでなく,全体を貫く主題を「数」と定め,そこを通奏低音として個々より腕が伸び出で,個々へ腕が伸び入るという,絵と絵の相互参照的ネットを構築しうる鑑賞を目指す。
- 美術科教育学会の論文
- 2006-03-31
著者
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