団地児童の遊びの利用単位
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概要
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以上に述べたことは次のように要約できる.1.団地の中で戸外遊びに使われる場所は,住戸から100m以内の所が大部分であるといえる.2.男女とも年令が高くなると,多少住戸から離れた所で遊ぶようになるが,学童女子で100m,男子で150m以内が,それぞれの過半数を占めている.3.静的な遊びの場合は,ほとんどが住戸から100m以内であり,動的な遊びでもボール遊びなどを除けば,全体の80%が140m以内で遊んでいる.4.遊びのスペースは,男子・女子・幼児・小学生などのそれぞれ同質グループと,それらの混合した異質グループとでは差があるが,幼児や女子グループおよび幼児を加えたグループでは100m^2以内,男子グループや小学生のグループの場合は200m^2以内といえる.5.遊戯スペースは,静的な遊びの場合で20m^2,動的な遊では300m^2以内がほとんどである.6.ままごとなどのごっこ遊び,なわ飛び・ごむ飛び,ボール遊び,つかまえっこ,かけっこなどの遊びは,既設の児童遊園とそれ以外のオープソスペースとが,遊びの展開の面からみると未分化で,児童遊園というものが埋没している.しかし,ローラースケート,とびっこ,かんけり鬼,ジャンケン遊びなどは,児童遊園の施設やスペースを使って遊び,そのために,子供は身近かな遊びの領域を越えて,行動範囲も200m以上とかなり広がる.結局,子供同士で遊ぶ場合は,幼児や幼児を加えたグループでは,居住棟周辺の100m程度,学童でも200mの範囲が利用頻度が高く,安心して遊べる領域である.問題は,この遊びの領域を拡大することだけではなく,その中で子供が自分で友だちをつくる機会と,いろいろな形で自由な遊びが発展する場を,いかに配慮するかである.さらに,遊戯器具を中心とした児童遊園にとどまらず,車や水や構成遊びなど,多様な遊び場を配慮して,子供の行動の発展と豊かな経験の機会を与えることが望まれる.こうしたいろいろな遊び場での子供たちの触れ合いがあって,違った友だちとの関係を楽しくつくっていく機会ももてるわけである.調査にあたり造園学科学生大石武朗,小林本八両君の熱心な協力を得た.記して謝意を表する.
- 千葉大学の論文
- 1967-12-31
著者
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