循環器疾患の予後と医療情報データベース

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日本保険医学会第5次共同研究として,東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所(以下心研)は,循環器疾患の予後について平成3年から10年にわたる共同研究をさせていただいた。これまで定時総会において,PTCA施行例の予後(1992),心筋梗塞症例の予後(1993),心臓ペースメーカー植え込み症例の予後(1994),拡張型心筋症の予後(1995),持続性心室頻拍症の予後(1996),大動脈疾患術後の予級(1997),ホルター心電図検査施行例の予後(1998),心房細動症例の予後(1999)について報告してきた。今回,最終報告として,これまでの報告の登録期間を1981年から1998年12月までに統一し,生保標準生命表1996を用いて再集計を行った。さらに,心臓超音波検査における心室内径短縮率による予後についても報告させていただく。今回の共同研究において,心研のKnowledge Databaseとなりうる医療情報の整備を行うことができ,情報基盤整備の重要性についても学び,実践することができた。心研におけるこの10年間の医療情報整備の状況と,今後の戦略についても報告させていただく。昨今,Evidence Based Medicine (EBM)が注目されているが,本邦における医療の現状を考えると,国産のEvidence Databaseを作成しEBMとして応用できるよう各方面で努力しているところである。しかし,そもそも医療は個に対して行われるべきで,医療機関においても独自のEBMを行うことも許されるべきであるとの意見も聞かれる。これまでの共同研究は,まさしくこのEBMを目指した活動であり,これまでの臨床研究のあり方に新しい考え方を提案しているといっても過言ではないと考えている。我々は,この共同研究を終えてもこの知見を活かし,更なる知見を得ながらEBMとして実践していく所存である。
日本保険医学会の論文
2000-12-27

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