単一クローン性免疫グロブリンGの不均一性ならびにその臨床的意義に関する研究
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概要
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IgG型monoclonal gammopathy (MG)を呈する悪性M蛋白血症(骨髄腫,MMG)14例および良性M蛋白血症(BMG)12例について,両群におけるM蛋白の質的ならびに量的差異を検討し,その臨床的意義を明らかにすべく研究を進めた。等電点分画法によりM蛋白はheterogeneityを示すが,subfraction (SF)数ならびに等電点の違いにより,MMG群に特徴的な変動が観察された。すなわち,等電点7以上,SF数5個以上を示す例の中にMMGは14例中11例存在したが,BMG例はこの範囲内には全く観察されなかった。したがって,血清M蛋白の等電点分画法による分析は,骨髄腫の診断に有用である。M蛋白の等電点がアルカリ側に認められる場合,M蛋白の蛋白量に対するシアル酸含量は低い傾向にあり,またneuraminidase処理により,M蛋白はよりアルカリ側に移動する。つまり,M蛋白の等電点にはシアル酸が関与している事が推定される。M蛋白のFabおよびFcフラグメントでは,後者のheterogeneityが著しく,したがってheterogeneityの成因として,主にFc部分が関与していると言える。M蛋白のSF数および等電点は,保存または臨床経過によりほとんど変化を示さなかった。BMGの4例は等電点8.4以上を示し,骨髄腫に近い像を呈したが,前骨髄腫状態の可能性も否定できないため,さらに臨床経過を観察する事が必要であろう。
- 北里大学の論文
- 1982-12-31
著者
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