副甲状腺ホルモンのラット摘出乳頭筋収縮性におよぼす作用
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概要
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ラット摘出乳頭筋を用いて副甲状腺ホルモン(PTH: synthetic bovine, amino terminus 1-34 amino acid)の心筋に対する影響を検討した。ラット摘出乳頭筋に対しPTH濃度10^<-12>Mで明らかな陽性変力作用(DT, DT/dtの増し)を認め,PTH濃度10^<-10>Mで最大反応を示した。なお,生物学的に不活性化されたPTHでは陽性変力効果は出現しなかった。細胞外液Ca濃度を1.0mMから3.0mMに増加させると陽性変力作用は明らかに増強されたが,PTHの効果は逆に抑制された。また,Ca拮抗剤(D-600)を前投与しておくと,PTHの効果は完全に抑制され,このPTHの陽性変力作用に少なくとも一部Ca^<2+>の細胞内流入が関与している可能性が示唆された。一方,α受容体遮断薬(phentolamine)およびβ受容体遮断薬(propranolol)によってもPTHの陽性変力作用は抑制され,かつreserpineで前処理した乳頭筋に対してもPTHの作用効果が減少した。このことは,PTHの陽性変力作用に心筋内catecholamineが関与していることが推測された。以上の結果から,PTHは心筋に対して陽性変力作用を持ち,その効果はCa^<2+>の細胞内流入と心筋内catecholamineの利用により出現するものと考えられた。
- 北里大学の論文
- 1981-04-30
著者
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