『婦女新聞』に見る満洲認識 : 戦争とジェンダー
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概要
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女性ジャーナリズムのひとつである『婦女新聞』の、満洲に対する論調を分析することを通じて、植民地支配とジェンダーについて考察する。その際に当新開が、植民地支配における女性と男性の役割を、どのようにとらえ、どのように主張したかに焦点をあてた。『婦女新聞』は当初から、「男性文明」と対等な「女性文明」の発展という主張を持っていた。戦時体制においてこの論理は、植民地支配において男性と並ぶ女性の役割を担うことによる、「女性文化」の創造という主張として展開された。「女性文化」は「愛」「平和」「精神」によって象徴されるととらえられ、それが、侵略による破壊の痕の「建設」という論理を容易に受け入れる要因となった。植民地支配は、女性の役割を男性とは異なるものとして要求し、『婦女新聞』は見事にこれに応えたのであった。
著者
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