明治中期の南進論とアジア主義 : 菅沼貞風(ただかぜ)と福本日南を中心に
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概要
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明治中期の南進論とアジア主義の関係については、二つの異なる見解がある。一つは両者をまったくべつものととらえる見解であり、もう一つは両者を同根ととらえる見解である。対照的な結論を導き出したこの二つの立場に共通しているのは、思想(南進論とアジア主義)の内在的検討にまで踏み込んでいないことである。実際に展開された思想の中で、南進論とアジア主義がどのように関連していたのか(あるいはしなかったのか)という分析方法が必要であり、その上で初めて南進論とアジア主義についての統一的把握ができる。本論稿では、南進論とアジア主義をあわせもっていた思想家、菅沼貞風と福本日南をとりあげる。この二人はフィリピン植民論を著し、実行に移そうとした。二人の植民論に内在する南進論とアジア主義の関連を明らかにし、さらに二人の共通点と相違点を浮きぼりにする。その上で明治中期における南進論とアジア主義について考察を深めたい。
- 北海道情報大学の論文
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