庄内地方「郷土本」に見られる方言描写 : 『筬の千言』に描かれた「帯」なる人物のことばをめぐって
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
庄内地方「郷土本」の一つ、『筬の千言』に登場する人物の言葉に注目し、そこには上方語と庄内方言とが語法上対立的に描かれている事実を示した。また、そのうち上方語を話す人物の会話部には、ごく一部庄内方言が混入しており、こうした事例から、異郷にあっていわゆるお国言葉を用いての対話が許されること、またそのような状況下にあっては当該社会の言葉の混入を避けきれないこと、の二つの可能性を指摘した。また、このような異なる言葉を用いる人物を登場させる手法は、中央の酒落本における文芸的趣向としてすでに存しており、その延長上にあって、作品に幅を持たせると同時に、方言の資料的価値も付与することを説いた。
- 2002-12-27
著者
関連論文
- 格助詞「へ」の使用・不使用 : 富士谷成章・本居宣長の文章の場合(加畑達夫先生 松本時子先生 定年退任記念号)
- 『子之助夢ものがたり』の音韻表記
- 随想 生活の中に生きることば
- 庄内地方「郷土本」に見られる方言描写 : 『筬の千言』に描かれた「帯」なる人物のことばをめぐって
- 近世庄内地方の洒落本類における助詞サをめぐって
- 仮定・婉曲とされる古典語推量辞「む」の連体形 : 『三巻本枕草子』にある「らむ」「けむ」との比較を中心に
- 近世における疑問表現の形態について : 上方語におけるものと江戸語におけるものと
- 『東海道四谷怪談』における命令表現の実態