仮定・婉曲とされる古典語推量辞「む」の連体形 : 『三巻本枕草子』にある「らむ」「けむ」との比較を中心に
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概要
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推量辞「む」の連体形は,他の活用形とははたらきが別であり,仮定や婉曲を表すとされてきたが,枕草子を調査した結果,「む」本来のはたらきである,未確認の事実に対する想像を表すものであることが判り,中古語文法では仮定の用法を認める必要がないことを述べた。また,連体形「む」は相関する文節に推量辞が伴われることが多く,かつまた,「らむ」「けむ」とは異なって命令・希求表現との相関を示しているが,そのことが連体形「む」を必要とする条件にはならず,連体形「む」の取捨が話者の主観に委ねられることを説明した。
- 2003-06-30
著者
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