社会福祉従事者の専門性と福祉政治 : ソーシャルワークのポリティクス
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概要
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本稿では社会福祉従事者の「専門性」に関する概念整理をふまえ、今日どのような文脈で狭義の「専門性」が構想されうるかを確認した。まず、「専門性」ないし「専門的」という言葉が、素人や他職種とは異なる理念的行為像としてのソーシャルワークと、そのような理念的行為者像としてのソーシャルワーカーを匂わせていると指摘した。つぎに狭義の「専門性」を、最も抽象度の高い行為像・行為主体像(社会福祉学を主な知的基盤とする知識・技術・倫理から構成される行為とその主体の理論的・理念的モデル)として規定し、「専門職性」「専門職制度」を含んだ広義の概念とは区別できることを確認した。さらに、わが国では社会福祉従事者の広義の「専門性」が、歴史の試練をうけるまえに、人為的・意図的な構想課題(研究課題や政策課題)とならざるをえない側面を有していると指摘した。そして最後に、狭義の「専門性」(従事者像)が構想される今日的文脈について整理した。そのポイントは次の3点である。(1)社会福祉従事者には、新しい「自立観」に立脚した支援の担い手であることが期待されている。(2)自立支援時代の社会福祉従事者には、これまでとは違った行為(労働・職務・援助)と行為主体(ならびに行為環境)のあり方が求められる。(3)その従事者像(行為像と行為主体像)は、「関係モデル」から「空間モデル」へと転換する兆しがみられる。
- 長崎国際大学の論文
- 2004-01-31
著者
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