文化的景観による世界遺産の可能性I
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概要
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世界遺産条約が国際連合教育科学文化機関にて採択されてから、世界文化遺産および世界自然遺産リスト登録数のアンバランスが指摘されるようになった。一つは、キリスト教文化を中心とする主にヨーロッパとアジア・太平洋地域およびアフリカ地域との地域差である。一方、いわゆる「石造建築遺跡文化圏」に基づいた世界遺産登録基準では「木造建築遺跡文化圏」の遺跡については適合できないことがあるということが表面化した。日本の世界遺産条約批准は、木造建築を理解するには、その国の文化についての背景、宗教的儀式、建築方法と伝統についての解釈を必要とすることを提起した。また、日本の加盟は、「文化的景観」の再解釈の必要性を提起したことにもなった。日本の問題提起は奈良ドキュメントとして採択、勧告された。この結果、アジアやアフリカを含めた文化の多様性が世界遺産リストに反映されることとなった。このような過程の中から「信仰の山」の概念が登録基準に加えられるようになった。長崎県の天主堂(教会)群を世界遺産へという暫定リスト登録にする活動が始まっている。長崎の天主堂群の現実をふまえつつ、弾圧をのがれて今も遺産としてある天主堂群を世界遺産登録の日程にのせるためには、新しい概念が必要であると考える。それには、文化的景観、「信仰の山」の概念等を考慮して「海の道」を導入することが可能ではないかと考える。
- 2004-01-31
著者
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