後入先出法の開示と証券取引委員会 (SEC)
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概要
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本稿は後入先出法がいかにして会計制度として確立していったかを明らかにする。はじめて後入先出法が提唱されたのは1930年代のアメリカである。当時のアメリカにおいては, 後入先出法は少数企業の会計慣行でしかなかったのである。しかし, その後において後入先出法は小売業に適用されるようになり, また取替原価の情報開示に展開するようになった。ここで公的機関としての証券取引委員会 (SEC : Securities and Exchange Commission) と民間部門の果たした役割は大きい。公的機関としての証券取引委員会は会計基準設定の権限を民間部門に委譲した。しかし, 証券取引委員会は情報開示の権限にとどまったわけではない。それは民間部門のルール・メーキングを積極的に補完したのである。他方, 民間部門はルール・メーキングに終始することなく証券取引委員会の情報開示の機能を補完していった。公的機関と民間部門が相互補完性を果たすことによって, 後入先出法はより広くまた深く展開したのである。
- 近畿大学の論文
- 2004-07-30