ラット新生仔一過性低酸素虚血負荷が線条体局所血流とプリン体代謝に与える効果に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アデノシン (adenosine) は脳の血流調節物質や神経伝達物質の一つとして虚血後再灌流による神経細胞障害の発症に関与するといわれている。今回の研究では, ラット新生仔一過性低酸素虚血モデルを作成して, 線条体での局所血流の変化と, 細胞外液中のアデノシンとその代謝産物であるプリン体の動態について検討した。一過性低酸素虚血負荷には, 左総頸動脈のクリッピングと8%酸素の吸入を行ったのち60分後にクリッピングと低酸素負荷を共に解除する方法を用いた。線条体局所血流量は低酸素虚血負荷により負荷前の48±22%まで減少するが, 負荷終了後には速やかに前値まで回復し, さらに60分後には76±25%まで漸減した。線条体細胞外アデノシン濃度は, 負荷により徐々に増加し, 負荷前の平均790%をピークとして負荷終了後60分ではほぼ前値まで復した。アデノシンの代謝産物であるイノシン, ヒポキサンチン, キサンチンの濃度は, 負荷開始後, 30分ごろより増加し始め, それぞれ負荷前の平均16.2倍, 50.6倍, 37.2倍まで増加した。キサンチンは負荷終了後には速やかに減少したのに対し, ヒポキサンチンは終了後60分でも高値が持続していた。細胞外アデノシン濃度は低酸素虚血と再灌流時に有意な増加を認め, アデノシンが再灌流時の血流維持に関与する可能性が示唆された。一方, 再灌流時にヒポキサンチン濃度の高値が持続することは, 活性酸素の発生源となり再灌流障害発症に関わる可能性があると考えられた。
- 2000-03-31
著者
関連論文
- 新生児黄疸管理における血清アンバウンドビリルビン値と光線療法の適応の実態
- 早産児における脳室周囲白質軟化症発症と絨毛膜羊膜炎関連臨床因子の関わりに関する検討
- 新生児慢性肺疾患における抜管の成否を左右する因子の検討 : 抜管基準としての呼吸機能検査の有用性
- 新生児慢性肺疾患における抜管の成否を左右する因子の検討 : 抜管基準としての呼吸機能検査の有用性
- 未熟児動脈管開存症治療のためのメフェナム酸坐剤の開発と評価 : 基剤による放出制御と健常人における体内動態
- 心エコー左室収縮率, 僧帽弁血流による早産児の生後早期左心機能の経時的評価
- D34 心エコー所見よりみた先天性横隔膜ヘルニア待機手術症例の検討
- 呼気終末一酸化炭素濃度測定による正期児, 早期産児と溶血性黄疸児のビリルビン産生の評価に関する研究
- 発達期脳の一過性低酸素負荷に対するNOの動態について
- ラット新生仔一過性低酸素虚血負荷が線条体局所血流とプリン体代謝に与える効果に関する研究
- 肝臓におけるビリルビンの代謝 (特集 周産期と肝臓・肝機能)
- 黄疸管理 (特集 日本の周産期医学を振り返る)
- 中心静脈栄養 (特集 新生児の手技--私はこうしている:トラブル脱出法)
- 経皮ビリルビン測定による成熟新生児黄疸モニタリングと採血基準値の検討
- 指定発言-NOの関与
- アンバウンドビリルビン測定 (周産期医療の新技術--新生児編)