マルチウェルプレート内短期培養によるヒト骨髄造血能の測定
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概要
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マルチウェルプレートを用い支持細胞を含む液体培養を行い,個々の骨髄の造血因子に対する細胞増殖を測定し,造血能を評価する方法を検討した。骨髄単核細胞を96穴マルチウェルプレートを用い10%FCS加IMDM中で37℃,5% CO_2下で培養した。この培養に刺激因子としてrhG-CSF 10ng/ml, rhGM-CSF 100U/ml, rhIL-3 100U/mlをそれぞれ添加し,造血細胞の増殖をMTTアッセイを用い5日後に吸光度で測定し,造血因子を添加していないコントロールに対する細胞増殖の比を吸光度の比として測定しResponse Index (R. I.)とした。正常骨髄細胞7例の検討では,R. I.の正常植は1.56±0.19(rhG-CSF),1.74±0.22(rhGM-CSF), 1.71±0.38 (rhIL-3)であった。なおこの培養条件でrhGM-CSF添加時に観察される96時間後の^3H-TdRの取り込みの増加は,抗hG-CSFにより一部中和され,この培養系においてin vivoで予想される2次的なCSFの産生が行われていることが確認された。再生不良性貧血患者の検討では治療前2例ではR. I.はほぼ1.0であり,治療により造血能が改善した5例では,R. I.はほぼ正常に改善していた。骨髄移植後回復期早期患者9例での検討では,CFU-GM数は未だ正常に回復していなかったが,R. I.は正常であり,造血因子に対する骨髄の反応は正常と考えられた。その理由としては内因性の造血因子の産生増加,造血細胞の造血因子に対する反応性の増加が考えられた。このように,本測定法により個々の骨髄の造血因子に対する増殖反応性が簡便に短時間で測定でき,有用な方法と考えられた。
- 千葉大学の論文
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