ヒトの抗原誘発鼻粘膜腫脹における中枢を介する神経反射の関与
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では鼻アレルギーにおいて抗原誘発時にみられる鼻粘膜腫脹に中枢を介する鼻粘膜血管反射がどの程度関与するのかを明らかにするために,ハウスダストを抗原とする鼻アレルギー25症例を対象に一側抗原誘発時のくしゃみ回数,鼻汁量,鼻粘膜の抵抗血管,容積血管の反応をレーザードップラー血流計およびAcpustic Rhinometerを用いて経時的に測定し,誘発側鼻粘膜血管反応と比較した。抗原誘発時のくしゃみ回数と誘発側鼻汁分泌量,くしゃみ回数と反対側鼻汁分泌量,誘発側と反対側鼻汁分泌量の間には有意の相関を認めた。一側鼻粘膜抗原誘発後,誘発側では誘発9分でピークを示し,以降時間の経過とともに減少を示す有意な血流増加を認め,反対側では3分後にプラトーを持つほぼ同じ時間経過を示す鼻粘膜血流量増加を認めた。しかし,その程度は,誘発側の83.1%であった。一方,一側鼻粘膜抗原誘発時,誘発側では25例中18例で,反対側では25例中16例で有意な鼻粘膜腫脹が認められた。両側鼻腔容積減少例では,反対側鼻粘膜腫脹の程度は誘発側の約45.3%であり,有意な変化の持続時間は誘発後12分までであった。以上より,鼻アレルギーにおいて抗原誘発時の鼻粘膜腫脹に中枢を介する神経反射による容積血管反応が一部関与するものと考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1996-06-01
著者
関連論文
- テマトロバンの鼻アレルギー臨床第III相試験 : テルフェナジンとの比較
- 136 BAYu3405が抗原誘発後における鼻腔洗浄液中メディエーターおよび炎症細胞に与える影響
- ヒトの抗原誘発鼻粘膜腫脹における中枢を介する神経反射の関与
- 355 Bradykinin受容体拮抗薬が抗原誘発鼻粘膜反応に及ぼす影響
- 181 スギ花粉症に対する減感作療法の効果 : Symptom Medication Scoreによる検討
- 621 鼻腔洗浄液中Secretory leukocyte protease inhibitorおよびPMN elastaseの定量
- 375 抗原刺激時にみられる反射性鼻粘膜腫脹の経時的変化
- 351 鼻粘膜血管内皮細胞からの好酸球ケモカインの産生と各種メディエーター刺激による影響
- 180 Transforming growth factor-β1測定の基礎的検討および抗原誘発鼻腔洗浄液の測定
- 126 スギ花粉症における治癒・改善の修飾因子の検討
- 125 スギ花粉症における発症修飾因子の検討
- 104 鼻アレルギー過敏症状の発現機序におけるペプチドロイコトリエンの役割
- 4. 鼻腔洗浄液の解析よりみた鼻アレルギーの病態 (8 アレルギー疾患における気道洗浄の有用性)
- ヒスタミン(H_1)受容体拮抗薬とペプチドロイコトリエン受容体拮抗薬の作用機序の比較検討
- 564 スギ花粉症発症に関与する2〜3の因子の検討
- 337 スギ・ヒノキ花粉症と血中lgE抗体価
- 568 鼻粘膜過敏性および上皮透過性に与えるDEPの影響
- 275 イタリア産Cryptomeria japonicaと本邦産Cryptomeria japonica抗原の共通性について
- 鼻粘膜過敏性に与える素因の影響 : 双生児における検討から
- 最近経験した鼻性頭蓋内合併症の4症例
- ラマトロバンの鼻アレルギー臨床第皿相試験-テルフェナジンとの比較-