中大脳動脈閉塞部位による遷延性脳梗塞巣拡大現象の病態発現への影響

概要

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虚血後に発生する脳梗塞巣は,脳虚血発症後の数日にわたり増大することが明らかとなり(遷延性脳梗塞巣拡大現象),新たな治療ターゲットとしてこの現象の病態メカニズムを研究することに注目が集まっている.今回,遷延性脳梗塞巣拡大現象の病態を解明するため,梗塞誘発領域の異なる2種類の中大脳動脈閉塞マウスモデル(近位部閉塞モデル,遠位部閉塞モデル)を作製し,虚血負荷後1, 3, 5, 7日目で梗塞体積を比較した.近位部閉塞モデル群は大脳皮質と線条体に,遠位部閉塞モデル群は大脳皮質のみに脳梗塞を誘発させることが可能であった.近位部閉塞モデル群では,虚血負荷後5日目をピークに有意な総梗塞体積の増大が認められた(P<0.05, vs.1日目).一方,遠位部閉塞モデル群では,何れの時点でも有意な梗塞体積の増大は認められなかった.以上,本現象の発生に近位部閉塞モデル群で誘発される線条体の傷害が関与している可能性が示唆された.最後に,近位部閉塞モデルは遷延性脳梗塞拡大現象の病態解明や新たな治療法開発に有用なモデルであると思われた.
日本獣医生命科学大学の論文
2005-12-01