「高校生の社会生活」第一報告 : 友人構造について
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概要
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(1)学校社会内に於ける友人関係は、その社会的発達上に非常に重要な機能を果している。即ち高校生の日々の学校生活中、最も期待しているもの(高校生の65%)は友人との接触である。又校内友人関係(親友)のないものは殆んどない(4%)のであるが校外には親しい友人のないものが約20%もある、殊に内向性の強いものにこの傾向が認められる。(2)校内友人関係(親友)は平均3.4人で上級学年程多い。又男子の方が多いが(男子3.6人、女子2.6人)相互的結合は女子の方が緊密で相互結合の友人関係は女子3.2人、男子2.4人である。(3)校外友人関係は平均1.5人である。(4)向性指数標準段階者には親しい友人関係が多く且外向性者は内向性者よりも多い。(5)青年期に於ける友人結合は(a)結合への前提条件として接触を基礎とし(同組・同町村・同通学方面には比率的に親しい友人が多く嫌いな友人は少いこと、同性間の友人-学校社会では同性間の交渉の方が多い-が極めて多い事などの実証的事実から)(b)より外部的結合条件としての年令的(校内には同学年間,校外では同学令間に多い)、身体的(身長・体重)r.55〜.59)、社会的・経済的(校内では生活程度がよい類似しているものが結合し易く、校外では同程度の社会的・経済的条件を予想しうる学生仲間に親しい友人が多い)諸条件の類似性の上に(c)より内面的結合条件として理想・趣味・向性(格)学力等の諸要因の結合の上に青年期の親しい友人関係は成立している。(これは他方、友人選択の主観的理由の研究からより内面的結合理由が挙げられている事からも知り得る)(6)青年の友人結合は斯くの如く質的深まりと同時に又量的にも緊密なきづなによつて関係づけられている。即ち相互結合間では前述13要因中7要因の量的一致があり、一方選択の結合では5要因の量的一致があつた。(7)青年学生間の結今に於いては知的・学力的なものが結合要因や指導者性格として高く評価される傾向がある。(8)友人関係の持続度について見るに、新制中学以来の友人は一年生で47%、二年生33%、三年生26%と見作しうる。(9)学年・年令間のTension (緊張関係)は上級学年・年上者との間にあつて、この事実は校内外友人関係、嫌いな友人関係の学年別・学令別指導者の学年別の研究から知られる。(10)人間は本来友好的であつて嫌いな友人は親しい友人に比して少く、男子の60%、女子の45%には嫌いな友人が無い。更にこの事実は同組・同町村岡通学方面間にも少い。但し女子は男子より嫌いな友人をもつ者が多いが、個々人としても多数の嫌いな友人をもつている。(11) 学生間の指導者としては「明朗にして親切・友情に富む同情的理解態度の親好的性格者」及び「指導・統率力に富む責任感旺盛な実行的活動家」が求められている。(未完)
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