造血細胞移植を受ける患者の下肢筋力と主観的健康観 : 無菌室在室による影響(第1報)
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概要
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造血細胞移植を受ける患者では長期間身体不活動状態となり,このために下肢の筋力が低下し,倦怠感が強まり,心理的な障害も起こると考えられる。そこで本研究は移植患者の身体活動を歩数で評価し,さらに移植前後での下肢筋力と主観的な健康観の変化と関連性を検討することを目的とした。16歳以上で血液疾患のために移植予定の者で本研究の参加に同意が得られた対象へ,(1)下肢筋力(膝伸展力,足底屈力,足背屈力),(2)大腿部筋断面積,(3)状態不安(STAI),(4)倦怠感(CFS)の4項目を,移植前(無菌室入室前)と移植後の2回測定した。また対象者は万歩計を常時装着し,毎日の歩数の自己記録をした。20例より研究参加の同意を得,このうち9例について移植前後2回の測定をした。対象9例(男性5例,女性4例)の平均年齢は37.3歳で,全例が臍帯血移植であった。一日平均歩数は,無菌室在室中は237.5歩,無菌室退室後の移植後経過日(以下,day)50までは616.3歩,day 51〜80は1373.0歩であった。下肢筋肉4指標(膝伸展力,足底屈力,足背屈力,大腿部筋断面積)の移植前後での変化は,移植前より移植後の植が有意に低下し(移植前値の約80%),4指標は概ね相互に相関していた。STAIとCFSは移植前には相関しないが,移植後は強い相関があった。さらに移植後筋肉指標はCFSまたはSTAIと負の相関を示した。以上より,移植後患者の歩数ほきわめて少なく,不活動状態であり,下肢筋力は低下し,倦怠感および不安感との関連性が認められた。
- 聖路加看護大学の論文
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