島岡理論の英訳(2)
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概要
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本稿は『総合和声』「原理篇」の第2章「和音のゆれ」の翻訳である。この章では音楽における重要な要素である和音に焦点を絞り,それに関連する概念を原理的に整理し説明している。まず,西欧古典音楽史における「旋法」の単旋律の世界から「和声」ないし「調性」の世界がどのような原理により生じてきたかということを島岡理論の視座で解明し,次いで和声の構成単位である個々の和音の継次関係(和音進行)を「ドミナント進行」を中心軸として整理し,和音進行の単位であるカデンツを「和音のゆれ」と定義し,最後に古典的な調性(長調と短調)の特質をまとめている。この章において初めて島岡の重要な観点および方法論である「通時的な和声技法史の共時的構造化(a synchronic construction of the diachronic history of tech-niques of harmony)」および「共時的な調性原理の通時的歴史化(a diachronic historicization of synchronic tonality principle)」の一端が示される。これらの語の英訳は島岡の講演:「国立音楽大学70周年記念基調講演:音楽理論とは何か?-私の場合」(1996)の講演記録に出てくるものである。なお英訳文確定については「島岡理論の英訳(1)」と同じく原著者による校閲とカナダ人作曲家John Jambus Coleによるネイテイブ・チェックが行われた。また原文において他章へ言及している部分は割愛した。原文の脚注は本稿最後に移動した。
- 2005-08-01