銀行業における税効果会計の影響 : 繰延税金資産の評価
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概要
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2003年のりそな銀行への公的資金注入、足利銀行の一時国有化といった事態の背景には繰延税全資産の計上の問題があり、繰延税全資産の計上額が監査人によって否認されたことがその端緒となっていた。このように税効果会計による繰延税全資産の計上の問題が銀行経営を脅かすこととなっている現状を踏まえて、本稿ではまず、繰延税全資産の計上についての問題は税効果会計の導入当初からみられた傾向であることを指摘する。そして、税効果会計の導入そのものが自己資本増強を図る銀行の救済策ではなかったのかという問題提起を行う。さらに税効果会計の導入当初と最近の銀行における繰延税全資産の計上額に関して、1999年3月期、2002年3月期および2003年3月期決算の計上額を示した上で、税効果会計が銀行の財務諸表に及ぼした影響を考察し、繰延税全資産の回収可能性に関しての考察を行う。これらの考察から、繰延税全資産の計上が邦銀の財務諸表の信頼性を低下させているため、恣意的な判断や見積りを許さない厳格な基準や指針を設けることによって邦銀の国際的な信頼を回復させることを提言している。
- 2004-03-31
著者
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