S. アンダスンの『物語作者の物語』一考察 : フィクションとしての自叙伝
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概要
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『ワインズバーグ物語』やその後の『馬と人間』などの成功を経て作家活動に自信を深めた時期に『物語作者の物語」は執筆された。アンダスンがこの作品を「半ば自伝的作品」と称しているのは,この自叙伝が史実を記載したものではなく,物事の本質を描き出そうとしたものだからである。したがってそこには多くのフィクションが潜んでいるのである。注目すべき点は,常に敬愛の念を抱いている母親を矮小化し自叙伝であるにもかかわらずその死を事実よりもあえて13年も早める一方で,多くの作品で批判めいて扱っている父親を「真の自然主義者」と呼んで英雄のように描いていることである。そこには幼年期に目の当たりにした父親のストーリー・テリングこそ人びとの心に訴えかける手法であり,人間の深層心理を表現できる方法でもあるというアンダスンのメッセージが暗示されているのである。したがって『物語作者の物語』はアンダスンの作品論の構築と文学手法の確立を宣言した自叙伝であるといえよう。
- 京都学園大学の論文
- 2005-07-20
著者
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