福岡県幼児保育史研究 (IV) : 昭和前期の保育所と保育者養成
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概要
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福岡県の昭和前期の幼児保育史上の特徴は、つぎの通りである。一つは、常設保育所 (託児所) が急増したことである。昭和10年度、幼稚園32に対し、常設保育所 (託児所) 77である。幼稚園数より、常設保育所 (託児所が、多いのである。二つは、常設保育所 (託児所) の中では、鉱山会社経営のものが多い。それは、福岡県には炭鉱等の大会社が多かったことによるのであろう。三つは、稲の田植時期、刈取り時に設けられる農繁期託児所が多く設置されたことである。戦時下になると、各部落に一つの託児所が設置されたという。四つは、幼稚園以上に常設保育所 (託児所) 等が設置されると、その保育の担い手である。保姆養成機関が必要となる。福岡県は、昭和18 (1943) 年6月、福岡県保育婦養成所を設置した。入学資格年齢は16歳以上の女子で、入学定員を約50名、修業年限を6か月とし、教科目の中で保育実習を重視した。