古英語訳福音書における拡充形に関する研究(英語学)
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概要
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古英語訳福音書における拡充形の分布を調べると,全部で66の用例が存在し,ヨハネ伝とその他の福音書(共観福音書)の間に極めて頻度に差が存在することが分かり,複数の著者が存在する可能性がうかがわれる。ヨハネ伝以外で拡充形が使われている箇所について,ラテン語の原典と比較して,翻訳技法に着目すると,ラテン語でもesse(英語のbe動詞に対応)+現在分詞となっている例が極めて多く,ラテン語の異態動詞(形式所相動詞)の未完了過去形や完了形の翻訳に対応する拡充形が見られないという特徴がある。共観福音書で拡充形が用いられている箇所について,他の古英語等の宗教散文における引用箇所などと比較すると,拡充形の用い方が類似している用例を初期中英語期まで見出すことができる。よって拡充形の用い方には,筆者間である程度,統一性があったものと思われる。これにより,従来の研究では必ずしも明らかではなかった古英語訳福音書と他の後期古英語散文等の関係について,英語の一つの構文を通じて,わずかではあるものの解明がなされたことになる。
- 2004-01-10
著者
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