負性事態に対する観察者の責任判断
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概要
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本研究は負性事態に対する観察者(被験者)の責任判断に関するもので、事態の重大性や行為者の個体要因、判断者(SS)と被判断者(行為者)との類似性等を変数として性別で比較分析を行った。具体的には負性事態として被験者には交通事故の模様を示す新聞記事の形で提示し、事故結果に対する被験者の加害者(運転手)への責任帰属や刑罰の課し方、状視差による加害者に対するイメージ等が測定された。本研究で得られた主な結果は次のように要約される。(1)運転手への責任帰属や刑罰の課し方は全体的には道義心発動仮説を支持している。しかし、性別比較では、責任帰属の場合、両性とも道義心発動仮説、刑罰の課し方では男性はWaisterの防衛仮説、女性は衡平仮説を支持する傾向を見せている。(2)全体として、運転手への責任帰属度は男性の方が女性の方よりも高く、一方刑罰の課し度合は女性が男性よりも高い。(3)被験者の運転免許有り群と免許無し群では、責任帰属傾向は女性のみにおいて群間差が見られ、また刑罰の課し方では両性に群間差は認められなかった。(4)運転手のもつ事故経験の有無は運転手への責任帰属や刑罰の課し方、イメージにかなり影響を及ぼすが、運転手の状況熟知度はほとんど影響を与えないことが示された。(5)判断の際、男性は比較的行為者(運転手)側に、女性は被害者(歩行者)側に立つ傾向が見られ、また、運転手へのイメージもそれに準じた傾向を示している。
- 沖縄大学の論文
- 1982-03-31
著者
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