RNAiによる日本脳炎ウイルス増殖の阻害
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概要
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本邦での日本脳炎(Japanese encephalitis, JE)患者数は最近では年間数十人以下であるが,国外では年間4万人以上が発症している。治療は対処療法のみで,死を免れても多くは重篤な後遺症を残す。有効な抗ウイルス剤の開発が望まれている。本研究では新たな抗ウイルス剤開発の基となるRNAiによる日本脳炎ウイルス(JEV)増殖阻害効果について報告する。ここではJEVゲノムの配列を含む二本鎖の小RNA即ちRNAiとしてJCR, JN3R及びJRiを用いた。なおJRiはRNAi発現ベクタ-pJRiの導入後,細胞内で作られる。それらをvero細胞に導入し,JCRとJN3Rの場合は導入後5時間で,pJRiの場合は導入後24時間でJEVを感染させ,さらに24時間培養後,培養上清液と細胞を採取した。ウイルス力価はBHK細胞を用いプラーク法で測定した。pJRiを導入したVero細胞にJEVを感染させた結果, JEV産生量は対照に比べ,pJRi量1.25μg/we11で約30%,5μg/wellで約10%に減少した。JEV増殖はpJRi濃度依存的に阻害されていることが分かった。JCR及びJN3Rでもウイルス増殖阻害効果が示された。Western blotによる解析でRNAiはウイルス蛋白合成を阻害していることが分かった。これらの結果から, pJRiを含むRNAiの抗ウイルス剤としての可能性が示唆された。
著者
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村上 学
金沢医大・総医研・分子腫瘍
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竹上 勉
金沢医大・総医研・分子腫瘍
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村上 学
金沢医科大学総合医学研究所・分子腫瘍学研究部門
-
太田 隆英
金沢医科大学総合医学研究所・分子腫瘍学研究部門
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竹上 勉
金沢医科大学総合医学研究所・分子腫瘍学研究部門
-
太田 隆英
金沢医科大学総合医学研究所分子腫瘍学研究部門
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村上 学
金沢医科大学総合医学研究所 基礎医科学部門
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竹上 勉
金沢医科大学・総合医学研究科・分子腫瘍学研究部門
-
竹上 勉
金沢医科大学・総合医学研究所
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