社会規範に対する自己認知と他者認知に関する研究
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概要
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本研究では,現代のマナー,エチケットなどの社会規範において他者の行為および自己の行為をどのように認知しているか,その特徴を明らかとすることを目的とした。はじめに,現代社会の中で身近なマナー,社会規範に対する問題行為について12項目抽出して検討した。その結果,他者の行為認知においては,新社会規範因子,過密状況因子,喫煙因子の3因子が抽出された。近年話題となる携帯電話の使用に関するマナーと目上の人に対して敬意を表する行為は異なる因子であった。一方,自己認知においては,1因子のみが抽出された。続いて,12項目の社会規範に対する問題行為の他者認知と自己認知の関係について検討した。その結果,自己の社会規範に対する行為は,全般的にできるかぎり逸脱を避ける傾向を示したのに対し,他者の認知では,自己の認知ほど問題行動に対して譴責しない傾向が示された。さらに,斎藤・中村(1987)による対人的志向性尺度(IOS-Ⅴ)を用いて,対人的志向性の程度の違いが,社会規範の各因子にどのような影響を及ぼすか検証した。その結果,喫煙因子において対人的志向性が高い方が低い方よりもマナーが悪いと評価する有意傾向が示された。さらに,自己認知で抽出された因子において,対人的志向性が高い方が低い方よりも社会規範を逸脱しないようにしている傾向が示された。最後に,日常生活スタイルの遠いが社会規範の認知にどのような違いが見られるか,数量化I類によりその特徴を探った。その結果,喫煙因子において喫煙をやめた者が喫煙経験のない者よりも敏感に社会規範としてマナーが悪いことを認知している顕著な傾向が示された。The purpose of this study was to verify characteristics of self cognition and others cognition for social norms such as manners and etiquette. In this study, twelve undesirable acts of present society were extracted. First, twelve undesirable acts were analyzed by factor analysis. The components were classified into three basic dimensions, 'new social norms', 'density situation', 'smoking' in others cognition. The components of self-cognition were one dimension. Secondly, the relationship between self and others cognition was analyzed. As a result, it was shown that they avoided undesirable acts as much as possible in self-cognition, while they did not evaluate undesirable acts strictly in others cognition. Thirdly, the effects of interpersonal orientation (IO) were verified in each social norm component. As compared with Low-IO one, High-IO one behaved in preferable social norms. Finally, the effects in style of everyday life were verified in each social norm component. And It was shown that the difference of the style of everyday life had influences on social norms.
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