ドイツ型金融システムにおけるユニバーサルバンク化をめぐって (経済学部50周年記念号)
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概要
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現代の主要国金融システムにおいて、中心をなす民間大銀行はユニバーサルバンク化への傾斜を一段と強めているが、その本質や背景をどのように理解すべきであろうか。ユニバーサルバンクの典型的発展を示したドイツにおいて、新たな銀行タイプへの移行をもたらした具体的諸契機を検討し、その基本的性格を明らかにすることが課題である。イギリス型商業銀行とは対照的なドイツ型銀行は、経済的背景の相違のもとで、商業銀行業務と証券業務の兼営銀行として成立したが、そこからさらにユニバーサルバンクへと移行するのは第1 次大戦以降の、経済的困難と金融システム不安の拡がりを背景としていた。戦争と破局的インフレによって銀行業の資本的基礎の縮小・弱体化、金融市場の機能低下が生じたが、諸銀行グループは外国資本への依存を深めるとともに、集中による支店制大銀行化、公営・貯蓄銀行グループの銀行業部門への進出・拡張によって、業務分野の拡張と預金や顧客の獲得、信用供与をめぐって激しい競争を展開した。その結果としてユニバーサルバンク化がもたらされたこと、同時に銀行の流動性悪化や経営不安を惹起し、1931 年金融恐慌勃発の原因をも醸成したことを明らかにした。
- 2003-12-16
著者
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