赤外線分光分析によるスチレン・アクリロニトリル共重合体の熱分解の研究
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概要
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スチレン(St)・アクリロニトリル(AN)共重合体を加熱したときの赤外線吸収スペクトルの変化を追跡し,比較的低温(160℃〜210℃)におけるSt・AN共重合体の熱分解機構を研究した.簡単な加熱セル中に目の大きさが3mmの金網と合わせてフィルム状の試料をおき,窒素または空気中で一定温度で連続的に加熱しながら一定時間ごとに赤外線吸収スペクトルを記録した.この方法により,溶融した共重合体を試料の表面張力の作用によって金網の目の間に薄膜状に保持することができる.ニトリル基の吸収(2237cm^<-1>)の強さの減少速度の加熱温度による変化より求めた熱分解のみかけの活性化エネルギーは窒素中で27.4kcal/mol,空気中で32.5kcal/molであった.さらに加熱によるN-H基(3300cm^<-1>), -C=N- 基(1690cm^<-1>), -(-C=N-)-_n 基(1540cm^<-1>)の吸収強度の増加を比較し,熱分解の機構を検討した.その結果St・AN共重合体を加熱するときは,鎖状分子中で3個以上のAN単量体単位が連らなった部分においては主としてナフチリジン類似構造が形成されることが認められた.したがってこの共重合体の熱分解または着色の速さは共重合体中のAN単位の連鎖の分布の仕方によって顕著に影響されるものと結論される.この方法は,スチレンとアクチロニトリルのブロック共重合体およびグラフト共重合体をランダム共重合体と識別することに利用できる.
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