親子関係と自我の確立 : 青年期後期の女子を対象として
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概要
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本研究では青年期後期をむかえた女子を対象として,彼女の今日にいたるまでの親子関係の在り方と自我の発達との間にどのような関係がみられるかを検討した.結果として,親子関係が統制的であるか自律的であるかよりも,受容的であるか拒否的であるかが自我の発達に強く関係しており,父-娘関係よりも母-娘関係が自我の発達にはるかに強い影響を及ぼしていることが分かった.そこで次に,母-娘関係に限定して親子関係と自我の発達との関連を個々の項目ごとにみると,母が受容的であればあるほど「自我確立」の程度が高く,またその下位因子の「基本的信頼」「積極性」「生産性」「同一性」「生殖性」の達成度も高くなり,母の統制性が弱いほど(自律性が高いほど)「自律性」「生産性」の達成度が高くなった.次に親子関係を受容性と統制性の程度の組み合わせで8つのタイプに類型化し,それらと自我の発達との関係をみると,母-娘関係が受容的自律型のタイプで「自我確立」の程度が高く,拒否的自律型と拒否的統制型のタイプで低くなる.「自我確立」の下位因子についても,受容的自律型タイプが全体的に高く,拒否的自律型と拒否的統制型のタイプは低い傾向になる.父-娘関係の違いによる自我の発達への影響はこの場合もみられなかった.総括すれば,女子の場合,自我の確立へ影響を及ぼす親子関係の主なる要因は母-娘関係が受容的であるか否か,ということである.
- 名古屋文理大学短期大学部の論文
名古屋文理大学短期大学部 | 論文
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